バルトレックスはヘルペスの治療薬です。イギリスのグラクソスミスクライン社から製造販売されています。有効成分として、バラシクロビルが含まれています。
この記事ではバルトレックスの概要、効果について解説します。
バルトレックスは抗ウイルス薬の一種

バラシクロビルは、DNAポリメラーゼ阻害効果を有する抗ウイルス薬です。
単純疱疹や水痘、帯状疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制、性器ヘルペスの再発抑制などの薬として世界中の医療機関で処方されています。
-
- 単純疱疹(ヘルペス)の治療
- 水痘の治療
- 帯状疱疹の治療
- 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制
- 性器ヘルペスの再発抑制
バラシクロビルは、従来のヘルペス治療薬の有効成分アシクロビルに、アミノ酸の一種であるバリンをエステル結合させた成分です。
また、バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグです。体内で代謝されてアシクロビルに変化します。
バラシクロビルはアシクロビルに比べて効果が強いのが特長です。
2013年12月に20年の特許期限を経過したため、海外のメーカーだけで無く、日本のメーカーもバルトレックスのジェネリック医薬品を製造販売しています。
バラシクロビルを含む薬は、日本国内では先発のバルトレックスが最も知られています。
医薬成分の特許期限が切れた現在では、バルトレックス500mg錠やバルトレックス顆粒50%の後にメーカーを表記した商品名で販売されています。
日本国内では、医薬品や医療機器を取り扱うニプロ株式会社や三和化学研究所、第一三共ヘルスケア株式会社、日本ジェネリック株式会社など様々なメーカーが製造販売しています。
-
-
- バラシクロビル錠500mg「サワイ」
- バラシクロビル錠500mg「ファイザー」
- バラシクロビル錠500mg「三和」
- バラシクロビル顆粒50%「トーワ」
- バラシクロビル顆粒50%「日医工」
- バラシクロビル顆粒50%「アスペン」
-
メーカーごとに結晶セルロースやステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、酸化チタンなど添加物の配合量や、錠剤の形状が若干異なります。
インドでは、特許にまつわる事情が特殊なため、2013年の特許期限が切れる前からバルトレックスのジェネリック医薬品が製造、販売されています。
シプラ社のバルシビルやセンチュリオンラボラトリーズのセントレックスなどが挙げられます。
特に2013年以前は日本国内でも数多く個人輸入されていた経緯がありますが、処方箋を必要とせず手間の省ける個人輸入を利用する人も多くいます。
バラシクロビルは、特許の期限切れにより400円を超えていた薬価が4割~5割程度引き下げられ、ジェネリック医薬品のバルトレックス顆粒50%は約240円、バルトレックス500mg錠剤は約188円程度で購入することができるようになりました。
バルトレックスの効果・副作用

バルトレックスの有効成分バラシクロビルは、小腸上皮細胞から吸収されたあと、肝臓で酵素エステラーゼの効果によりバリンとアシクロビルに加水分解されます。
分解されたアシクロビルは、ヘルペスウイルス及び宿主由来の酵素チミジンキナーゼの効果により3回にわたりリン酸化されます。
そして、ヘルペスウイルスのDNA合成に必須とされるデオキシグアノシン3リン酸と酷似した分子構造を有するアシクロビル3リン酸に変化します。
アシクロビル3リン酸は、DNAポリメラーゼの効果によりデオキシグアノシン3リン酸と置換される事によりウイルスのDNA合成を阻害し、ヘルペスウイルスの増殖を抑制する効果を発揮します。
バルトレックスはウイルスの増殖を抑える薬です。
バルトレックスは、服用後24時間で87%~97%が排泄されます。腎臓や肝臓に蓄積されることが無いので重篤な副作用の発症リスクが低く、安全性の高い抗ウイルス薬とされています。
頭痛や腹痛、吐き気などの軽微な副作用が出ることがあります。
一方、ごくまれに肝機能障害や急性腎不全、急性膵炎、肝炎などの重篤な副作用を発症することが稀にあります。
体質によってはアナフィキラシーショックや皮膚粘膜眼症候群、間質性肺炎、重い精神神経症状などの重篤な副作用を発症することがあります。